インターネット掲示板での名誉毀損で調査費用を相手に負担させた判決

ここまで、

 契約に基づく請求のときには相手に弁護士費用を請求できない、
不法行為による請求のときは、10%を弁護士費用として請求できる、

と説明してきました。

弁護士費用に関連して、平成24年に新たな裁判例が登場しました。
大げさかも知れませんが、この裁判例が主流となれば、裁判を起こすハードルが下がり、被害者の救済へとつながることになるかも知れません。

【東京地判 平成24年1月31日】
Yが、2ちゃんねるのXの悪口を書き込みました。
Xは、Yに対し、名誉毀損を理由に損害賠償を請求しました。
ここまでは、これまでに紹介してきた裁判例と変わりがありません。

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「弁護士費用を相手に請求したいのですが」その2

先日、裁判は大きく次の二つに分類できる、というお話をしました。

1 契約に基づく請求 と
2 契約に基づかない請求 です。

道路

まず、「1 契約に基づく請求」の場合に「弁護士費用も支払え」という判決が下されることは、ほぼありません。

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報道番組の取材を受けました!

弊所の渡邊弁護士が、「スマートフォン犯罪」について、報道番組「イッポウ」から取材を受けました!
(CBC。月曜から金曜までの夕方午後4時50分から午後7時まで)

※12月17日、18日にかけての大雪の影響で、放映日が1月に延期されました。
放映日決定次第、改めて告知します。

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「弁護士費用を相手に請求したいのですが・・・」その1

「弁護士にかかった費用を、相手に請求できますか?」
という質問をいただくことがあります。手を差し出す

説明すると長くなりますが、結論を言いますと、弁護士費用を相手に請求することは、「できない」か、「できたとしても、ごく少ない」場合がほとんどです。

「相手がちゃんと金を払わないから、仕方なく弁護士を雇って裁判するのに、なんでうちが弁護士費用を負担しないといけないのか?」
とお怒りになる方もいます。
全くもってごもっともです。

以下、説明していきます。

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正義感に基づいた書込

21731ad65f5a1c5459f56a17e58eb544_s【神戸地判平成21年2月26日】

Zさんは、ネット掲示板に次のような書込をしました。

〉マルチ方式で四年後に上場を目指し
〉いまは会員と出資者を募集してるそう。
あっら~~
いよいよここじゃなくて、悪マニさんトコのネタになるのか……(遠い目)。
京都大の学歴を自慢したってやることがマルチじゃなあ……。まあ、あの自費出版批判本をみた限り、ダウンの人々が法律を遵守したまともな宣伝をすることなんざ期待できないわけだが。

これだけでは、何のことを言っているのか、サッパリ分かりませんね。
ところが裁判所は、この書込の前後の文章や、その掲示板の読者の知識からすると、この書込は名誉を毀損するものだと判断しました。

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2ちゃんねるで氏名や住所などがさらされた事案(プライバシー侵害)

突然、あなたの名前や配偶者の氏名や住所が2ちゃんねるにさらされてしまったら、どうしますか?

今回ご紹介する事件は、2ちゃんねるで住所などをさらされてしまった人のお話し。

【東京地判平成21年1月21日】

X1さんとX2さんは夫婦です。

X2さんの氏名・住所、Xさん達の親族の氏名、親族の経営する会社の本支店の所在地・電話番号が、2ちゃんねるにさらされていました。

そこで、Xさん達は、この書き込みをした者を見つけ出し、その者に対して、プライバシー侵害を理由として、損害賠償を請求しました。

X1さんの請求額は550万円、X2さんの請求額は440万円でした。

さて、裁判所はこの請求を認めたのでしょうか?

泣いてる女性

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弁護士に対する誹謗中傷 その2

前回の続きです。

今回の事件でX弁護士は、損害賠償請求と同時に謝罪広告の掲載も求めていました。

謝罪広告は、民法723条を根拠とする請求です。

※民法723条 他人の名誉を毀損した者に対しては、裁判所は、被害者の請求により・・・名誉を回復するのに適当な処分を命じることができる。

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