あなたが逮捕された場合、警察署から帰ることはできません。
そして、逮捕から23日ほど経ったところで、検事によって起訴するか起訴しないか、あなたの運命が決められます。
つまりあなたは、多くの場合23日間は、家に帰ることができないと考えてください。
逮捕された後の手続きについて、詳しく説明します。 1 逮捕と勾留請求(最大3日間)
逮捕されると1日から2日の間に、検察官が、裁判所に対して、さらなる捜査の必要があるのであなたを10日間警察署から出さないよう請求します。これを「勾留請求」といいます。
※逮捕の間は、ご家族や勤め先とは、会うことはおろか、連絡を取ることもできません。
2 勾留(最大20日間)
検察官から請求を受けた裁判所は、そのまま10日間の身柄拘束を認める場合がほとんどです。この10日間の身柄拘束を「勾留(こうりゅう)」といいます。
そして10日間が過ぎても、取り調べや捜索といった「捜査」が終わっていなければ、さらに10日間、勾留が延長されます。恐ろしいことに、多くの事件で勾留は延長されますので、勾留の期間は合計20日間となるのが一般的です。
※共犯者がいる場合や、あなたが容疑を認めていない場合(=否認している場合)には、勾留の間も、弁護士以外の人とは会えないようにされてしまう場合もあります。これを「接見禁止処分」といいます。
3 起訴か不起訴の決定(勾留から20日目)
勾留が20日目になりますと、いよいよ検察官は、あなたを起訴するか、起訴せずに釈放するか、を決定します。
嫌疑がないときや不十分なとき、または、情状が軽いとき(たとえば被害者との示談が成立した場合)には、起訴されないことになります。これを「不起訴処分(ふきそしょぶん)」といいます。
また起訴にも、「正式な裁判を求める起訴」と「略式起訴」があり、「略式起訴」であれば罰金を支払いさえすれば、起訴された日に釈放されます。
4 正式な起訴がされた場合(1月半から2月半程度)
正式な裁判を求める起訴がされた場合、そのまま勾留が続くことになりますので、「保釈」されない限り、警察署や拘置所からは出られません。
※「保釈」は、一定の金額を預けることであなたが逃げないようにした上で、一時的に釈放する制度です。保釈請求は、起訴された後でしか出来ません。
第1回目の裁判(公判)は、1月から2月後に行われる場合が多く、あなたが、事実関係を認めていれば、第1回公判で手続きは終わり、その半月後に裁判所が判決を下すことになります。
この判決で、「執行猶予」となれば、やっと家に帰れることになります。
もちろん重大犯罪の場合には、執行猶予はつかず、「実刑判決」となり、そのまま刑務所に行くことになるのです。
5 まとめ
このように逮捕されてしまいますと、容疑を認めている事件でも、保釈されない限り、逮捕された日から3カ月程度は、家には帰ることが出来ないことになります。
これほどの長期にわたって家に帰れないと、逮捕された方がサラリーマンの場合にはクビになってしまいますし、 逮捕された方が会社経営者の場合には経営する会社が倒産してしまうおそれもありますが、警察や検察どころか、裁判所が気遣ってくれることはほとんどありません。