「調書」について解説します。
「調書」という言葉は、「供述調書」の略称と考えていただければOKです。
(正確には、供述調書以外にも、公判調書など色々な調書があります)
では、調書とは何なのでしょうか? こちらが、調書の見本です。
本来なら、犯罪があったことを証明するのに「ある人の証言」が必要となる場合には、その人を裁判所まで呼び出して、証人尋問をしなければなりません。
ところが、実際には、警察や検察によって調書が作られ、この調書を裁判所に提出することで、裁判所で証人尋問をする手間が省かれています。
つまり、この調書に書かれていることは、実際に裁判所で証言されたことと同じだけの価値があるということです。
また検察官は、裁判で、容疑者の内心(知っていたかどうか等)まで証明しなければなりません。
そのため捜査機関は、容疑者を取り調べ、「私がやりました。」という調書を作ろうとするのです。
一旦、「やりました。」と認めてしまいますと、これを後から撤回することは中々出来ません。
例えば、「実は、取調べが厳しくて認めてしまいましたが、本当はやっていません!」と後から裁判で主張しても、自白した調書が裁判所に提出され、「取調べの時は認めてましたよね。」とあっさりと認められてしまいます。
これまでにも、一旦、「やりました。」と犯行を認めた調書に署名してしまったことが原因で、無実の罪で刑務所に入れられてしまった人は後を絶ちません。
ですので、調書に自分の名前を署名し、指で印を押すときは、慎重に慎重を期してください。
できれば、弁護士と相談するまでは、署名・指印をしないでください。
調書に署名指印をする義務はないのですから。