【東京地判平成14年9月2日】
解雇された会社の元従業員が、会社やその代表者の悪口を「2ちゃんねる」に書き込んでしまったという事件。
元従業員は、「不当解雇」というスレッドを「2ちゃんねる」に立て、そのスレッドで、その会社について、次のような書込をしてしまいました。
「業務は多忙で休日もほとんどなく、」「内容は朝7時から夜中の2時3時もざらであった。」
「いきなりの解雇通知である。納得出来ず、社長に抗議すると懲戒解雇にすると言われ同意書にサインしろと恫喝された。」
「納得出来ないので他の先輩社員に聞いて見ると自己啓発セミナー行きを体力的な理由で断ったのが社長と専務の癇に障ったらしい。ただ、それだけの理由なのだ。私は、許せない。一小市民をそんな理由だけで、解雇してもいいのだろうか?」
「この一ヶ月間、毎日が、忙しく平均3・4時間の睡眠時間での運転手という肉体労働だったので、精根尽き果て、目覚ましがなっても、おきれなかったのです。しかも、週休2日のはずが休みもほとんど取れない状態だったのです。」
「税引き後、18万そこそこの給料で、34万の請求・・・・。一ヶ月馬車馬のように、心身ともに疲れ果てるまで働いて16万の赤字です。」
「今の社長は2代目、まさにボンボンです。」「そして、2代目ボンボンの精神的弱さからか、宗教に近い(洗脳して、今までの人格っていうか、生き方を強制的に恫喝等で、三日間合宿場に缶詰にして、変えて、そこの校長のいいなりに=経営者のいいなりに、なるようにしむけるらしい。)所に自ら、研修にいき、どっぷり漬かって、それを自分なりに租借せずに、そのままを社員全員に押し付け、わたしのように、研修を先延ばしにしたものは、全員、首をきられたらしい。」
という内容です。
そこで会社は元従業員に信用や名誉が毀損されたとして300万円を、代表者は元従業員に200万円を支払うよう求めました。
この裁判では、会社、代表者はそれぞれ幾ら損害賠償が認められたでしょうか?
※なお、本件では書込内容が真実であるか否かについては、争点とされておりません。
(元従業員側に弁護士は付いていません)
元勤務先を誹謗中傷してしまった元従業員に下った判決は、
「会社に対し、100万円を支払え」
「代表者に対し、30万円を支払え」
という内容でした。
なお、代表者の慰謝料額を30万円とした理由について、裁判所は、「会社についての損害の賠償を認めることにより、その被害は相当程度回復された」としておりますので、仮に代表者だけが訴えていた場合には、代表者の慰謝料額はもう少し高額になっていた可能性があります。
いかがでしょうか?
高く感じましたか?それとも安く感じましたか?