弁護士に対する誹謗中傷 その1

【東京地判平成19年4月11日】

X弁護士が自身のブログでネット上のゲームを批評したところ、Y氏が2ちゃんねるにX弁護士を批判するスレッドを立てました。
そのスレッドには、次のようなことが書かれていました。

 

235  発言日時 2005/11/08(火)01:59:09
あとは,馬鹿に馬鹿といって何が悪いというのが
俺の持論だ。
俺を馬鹿だというのならどこが馬鹿か言わなきゃだめだ。
俺はXが馬鹿である理由をちゃんと述べているが
彼はそれをしていない。だから馬鹿なのは彼だけだ。
「馬鹿というならどこが馬鹿かと言え,言えないおまえは馬鹿だ」
馬鹿を見下して何が悪い?
見下すどころが唾棄すべき人間だと思ってるよ。
しょうがないだろ,あれだけ卑怯なことをしてるんだから。
ところでおまえさんは急に丁寧になってるけど,あんなのに
迎合しようと思ってるんじゃなかろうね?
あのブログそのものやその後の態度,スルー,削除,決めつけ,
どれを取っても人間のカスだよ。謝罪すればカスじゃなくなる
かもしれないがね,今の時点でXはカス。俺はカスよりは上。

350  発言日時 2005/11/08(火)16:05:08
ん,まあ犯罪者といえば犯罪者だね。
ただ犯罪者の定義が逮捕されたり有罪判決を受けた人という
意味なのか,犯罪の要件を満たしてるかどうかとするかに
よって変わってくるので,俺はXは犯罪者だなどという
つもりはない。強いていうなら,名誉毀損(罪)かな,という所。

531 2005/11/10(木)03:13:42
「法律遵守」って言葉が彼の辞書には載ってないのだな。
なんていうかね,もう馬鹿とかアホとかいうのじゃなくて
基本的に自分の好きなことが正義,嫌いなことは悪という
2元論で構成されてるの。もう,開いた口がふさがらないほど
頭がおかしい。倫理観ゼロ。きちがい。氏ね。

さらにY氏は、「トンデモ弁護士 X氏について」というホームページを立ち上げ、上記と似た内容の記事を掲載しました。

そこでX弁護士は、Y氏に対して、損害賠償として500万円の支払いと、ホームページ上での謝罪広告の掲載を求めました。

 

タイピング 手

 

このような請求に対して、裁判所は、「100万円を支払え」という判決を下しました。

裁判所は、次のように述べています。

まず、「唾棄すべき人間」、「人間のカス」、「開いた口がふさがらないほど頭がおかしい。倫理観ゼロ。きちがい。氏ね。」、「違法行為が好きな人」、「きちがいと称しても当然」といった表現は、非常に穏当さを欠く用語を用いており、もはや単なる誹謗中傷というべきであって、意見ないし論評としての域を逸脱しており、X弁護士の社会的評価を低下させるものであると判断しました。

その上で、「名誉毀損の不法行為は,問題とされる表現が,人の品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的評価を低下させるものであれば,これが事実を摘示するものであるか,又は意見ないし論評を表明するものであるかを問わず,成立し得る」としたのです。

また損害額を100万円とした理由については、
「本件各書き込み及び本件各発言の内容並びにそれが一般の読者に与える印象,弁護士という原告の社会的地位,被告の不法行為の態様」等を考慮して、X弁護士が被った損害を回復するには、100万円が相当」
と述べたのでした。

謝罪広告の説明は、また次回

 

 


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