従業員による会社の誹謗中傷 その2

【東京地裁平成15年7月8日】

この事件でも、元従業員が、「ヤフーファイナンス」の掲示板に、会社やその経営陣を誹謗中傷する書き込みをしてしまいました。書込の内容は、次のようなものでした。

投稿49
タイトル 3000円切ったじゃないか!
おい、こらっ!
A!B!
口では偉そうなことを言ってるけど、分けの分からん理由で株を売らせないのはなぜだ!?
お前等は頭おかしいのか?
株式公開までがんばってのは何のためなんだ?
お前等の老後資金のために働いてきたわけじゃねえぞ!
正当な理由もなく株を売らせてくれなかった責任は、必ず取れ!

投稿50
タイトル 3000円切ったじゃないか!!!
>正当な理由もなく株を売らせてくれなかった責任は、必ず取れ!
お前等の持株を全部会社に渡して退職しろってことだぞ!

投稿51
タイトル とうとう2000円台!
A!B!
正当な理由なく売らせなかった責任を取れ!

投稿52
タイトル RE:とうとう2000円台!
影で犯人探しか??ちゃんちゃらおかしいぜ!!
犯人探しよりも、どうやって責任をとるのか、を考えろ!
数字、数字、と連発するけど、お前等の財布の中身の計算か??

投稿63
タイトル RE:■怪情報?快情報?■
新A常務の勢いのみにはついていけぬ。
B専務は名古屋の愛人にべったり、東京妻は大嫌い。

会社及び代表者と共に、役員A、Bは、元従業員に対して、それぞれ100万円を請求しました。

判決では、ABに対する損害賠償として、いくらの慰謝料額が認められたでしょうか?

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元従業員に下された判決は、

「各役員に対して、10万円ずつ支払え」

というものでした。

この判決では、これらの投稿は、A、Bの社会的評価を低下させるものではないとして、名誉毀損とは認められない、としました。

しかし、
「お前等の老後資金のために働いてきたわけじゃねえぞ!」等、不穏当な表現でA、Bをののしるものであり、書込63は品性を欠く表現で、A、Bを揶揄するものであって、本件掲示板のような公の場でこのような中傷、揶揄を受けることにより、取締役であるA、Bらは、その名誉感情を相当程度傷付けられた、としました。

その上で、これらの書き込みは、社会通念上受任すべき範囲を超えたものであるとして、不法行為の成立を認めました。
つまり、今回の書込は名誉毀損ではないが、A、Bの名誉感情を害するものと元従業員の責任を認めたわけです。

 

【結論】
今回の書込により、AとBには各10万円の損害が発生したと判断されました。
※さらには、本件では、元従業員の身元保証人の責任も認められています。

つまり、会社に勤めているときに、その会社の悪口を書き込み、その会社の名誉や信用を害した場合には、身元保証人も責任を負うことになるということです。くれぐれもご注意ください。


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